Kikuchy's Second Memory

技術のこととか、技術以外のこととか、思ったことを書き留めています。

やる気の話

Positive Affirmation


私の観測範囲では、という但し書きが付きますが、エンジニアには早起きが苦手という方が多いようです。
私も朝が弱く、昔から親に「早く寝て早く起きろ」と言われるのですが、早く寝ても遅くまで寝てしまって、決して早起きには至りませんでした。

何かモチベーションの高いイベントが待ち受けていれば確実に早く起きられるのか、と言えばそうでもなく、早起き成功率が40%くらい上がるだけ。
半年に一回楽しみに待っているコミケであっても始発の時間から2時間ほど寝坊する始末です。

今の勤め先も、フレックスタイム制コアタイムが12時となってからは、起床の時間が1〜2時間ばかり遅くなってしまいました。

「やる気が足らない」と親にはよく言われたものですが、起きられないものはどうしようもないのです。

やる気って何でしょう?
やる気って制御できるんでしょうか?

やる気はどこから来るのか

マネジメントやコーチングの用語でよく聞く言葉に「内発的動機付け」と「外発的動機付け」というものがあります。

内発的動機付けとは、「誰にインセンティブを与えられることもなく、自分から『やるぞ』という気持ちになる(やる気がでる)動機付け」のこと、
外発的動機付けとは、「自分以外からインセンティブを与えられて『やるぞ』という気持ちになる(やる気がでる)動機付け」のことだそうです。
外発的動機付けは長く続かない上にパフォーマンス劣化を招くので、コーチングによって相手自身にやりたい事を気づかせ、内発的動機付けを促すべし。
というのがよく言われるやつです。

どうやら質は違うようですが、どちらもやる気を生み出す素のようです。

え、外発的動機付けが本当にやる気を生み出すのかって?

一緒に仕事してる仲の良い上司から
「この仕事終わったら一食10万のディナーをご馳走するよ」
とか言われたら一瞬でもやる気出ません?

やる気は制御できるか

「ある程度はできるが、ある程度以上はできない」のではないでしょうか。

内発的動機付け由来のやる気の制御

内発的動機付けについては、動機の原因が個人の内部状態(神経やら内臓やらの状態)に依存します。
神経(つまりは自分の意思)によってやる気を生み出している部分は大きいですが、人間が生物である以上は環境に左右される部分があります。
冬の朝寒い時期に、ぬくぬくポカポカの布団からなかなか出られないように、生物には快適な状態(コンフォートゾーン)から抜け出しにくい性質があります。

もし意思の力がコンフォートゾーンを抜け出すのに十分であれば行動を起こせますが、意思の力もコンフォートゾーンの引力も一定ではないので、場合によることが多そうです。
なぜ一定ではないか、というと、状況によって変わるからです。
いくら仕事が楽しかろうと寒い日は布団から出られなくなる人も、夏の蒸し暑い日にいつまでも布団に潜っていたいかと言えばそうでもないでしょう。
また、布団が恋しい環境であっても、この機会を逃したら二度と手に入らないものがあれば、早起きして買い物に行くかもしれません。


「内発的動機付け由来のやる気の制御=内部状態の制御+外部環境の制御」となり、「外部環境より内部状態の方が比較的制御が容易なため、多少は制御可能」となるかと思います。

外発的動機付け由来のやる気の制御

外発的動機付けについては、動機の原因がほぼ全て自己の埒外、つまり外部環境に依存しています。
外部環境には多少の干渉はできるでしょうが、思い通りにするのは相当な苦労を要するはずです。
例えば仕事内容を変えずに年俸500万から1億になったらやる気は上がりそうです。
しかし給与交渉そのものはできても、いきなり年俸1億にするのはとてもハードルが高そうですよね。

という訳で、「外発的動機付け由来のやる気の制御=外部環境の制御」となり、「外部環境の制御の困難さ=やる気制御の困難さ」「外部環境の制御は困難なので、やる気の制御も困難」となります。



どうしたらいいのやら

内発的動機付けによるやる気は、内部状態であるため一定のコントロールができる可能性があります。
また、外発的動機付けによるやる気も、環境に働きかけることで改善する可能性があります。

仕事に楽しむ理由を見つけたり、自分へのご褒美を与えてみたり、同僚に「褒めて!」とお願いしてみるなり、給与交渉をしてみるなり…

たた、どちらにしたって完璧なコントロールは無理でしょう。
人生は大概思う通りにはならないので…

やる気を出そうと考えすぎない、やる気が湧かなくても仕方ないと思う、というのが良いのではないでしょうか。