一つ、父を超えた
とてもとても技術とか関係のない話ですし、とてもしみったれた小さな話ですが、個人的に感慨深かったので忘れないように。
Google I/O 17で、KotlinがAndroidの公式開発言語になったという発表がありました。
早くから(それこそ1.0が出る前から)この言語は主流になると思ってプロダクトに取り入れる活動などをしていたので、実際に主流になったというのは感慨深いものがあります。
さて、感慨深いと同時に、「父を超えた」ことができたと思いました。
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私の個人的な考えでは、「子供は親を超えるもの」だと思っていますし、子供はそれを目指すべきだと思っています。
「老いては子に従え」と言いますが、親を導くためにはそれなりの子供になっていないと、と思っているわけです。
私の父は技術者(と言ってもメカの設計が専門で、情報系のエンジニアではありませんでした)で、家電好きでもありました。
父はもう15年ほど前に他界しましたが、それまでの間、最新の家電や電子機器をいくつも(母親が許す範囲で)家に導入していたものです。
中にはいくつかの規格が覇権を争っている最中に購入したものもあります。
特に私の記憶に残っているのはこの2つです。
ことごとく「スペックは良いが派遣を握れなかった」ものを選んでいました。
技術者としてスペックが良いものを選ぶのは自然な思考だと思いますが、どうにもその先行きまでは見通せていなかったようでした。
父を超えた、と思うのは、覇権を争うものの中から覇権を取るものを選べたこと。
私が会社で開発していたプロダクトにKotlinを導入しようとしていたとき、Alt-Java言語としては他にも
などの候補がありました。
特にScalaは当時はKotlinより知名度が断然高く、case classなどボイラープレートを省略する文法、便利なライブラリ、強力な型システム、サーバーサイドでの利用実績が魅力的でした。
Alt-Java言語を使いたかったのは、Javaの冗長さを疎んでのことでした。
それでも「導入してしまえばこの先数年は使い続けることになる(そしてAndroid開発での主流にならなければ負債にしかならない)」という視点は大事です。
Kotlinは、Javaとは大きく変わらないけれどもとても便利になっている文法と型システムを持っていたのが「この言語は使われるようになる」と考えた決め手でした。
導入から1年近くたち、結局KotlinはAndroid開発言語の公式言語にのし上がりました。
父は技術のその先を見通せなかった(かもしれない)が、私は(少なくとも今回は)見通すことが出来た。
果てしなく小さな一歩でしたが、父を超えられたと思いました。
少なくとも父よりは大衆に認められるものを見極める力があるぞと。
まだまだ超えられない父の壁はたくさんありますが、これからも精進していきたい所存です。
これからも空の上から見守っていてくれたら、嬉しいです。